mbooks-in-nookの日記

-左車線しか走れない-

2023.4.8土曜日 レタスちぎって昔のバイトを思い出す

最近レタスに興味がわき、久しぶりにひと玉買って少しずつ味わっている。何かのサイトで猫が食べられると知って興味がわいたのもひとつだし(まだニャアには食べさせてないけれど)冬の間は根菜類が多く寒いから基本的に生野菜は食べないので、温かくなってきたら無性に食べたくなった。ほとんど水分で栄養が無さそうだが、調べてみたらビタミンやカルシウム、食物繊維も含まれているようだ。生で食べてもシャキシャキ歯ごたえがいいし(ドレッシングをかけるより、塩でそのままむしゃむしゃ食べるのがいい)スープやチャーハンにしても美味しい。値段も手ごろだし、とてもいい食材じゃないかということでこの春はレタスを楽しもうと思う。

 

 

そんな朝、レタスを洗っていたら、短大時代にやっていた弁当屋のアルバイトを思い出した(洋風弁当の盛り付け用にレタスは必須だった)。小さい和田アキ子みたいな50歳前後の女性が店長で、言動がとにかくテキパキ、ハキハキしていて怖かった。意地悪な訳ではないのだが、わたしは苦手だった。自分ではそんなつもりはなかったけれど、わたしもまだ10代で少しだけ反抗的な、どこか後ろ向きな態度が出ていたのかもしれない。店長にはなにかと突っかかれた。その頃は家庭環境にいろいろ問題があって悩んでもいたので(バイトも2つ掛け持ちで週7日働いていた。今より働き者だった。)余計なことは聞かれたくなかったし人生に屈折しかけていた。

 

ある夏の日、特に何もしていなかったのだけど(多分反抗的な態度を取られたと店長が勘違いして)お客様の前で怒鳴られ、店の外の洗い場でめちゃくちゃデカい鍋洗いを命じられた。店先でスタッフを怒鳴る店長って本当嫌だな、と思いながら炎天下のなか鍋を洗った。悔しくて涙が出た。何もしていないのに、ちゃんと店長に言えなかった。言いなりになってしまった自分と皆の前で怒られた恥ずかしさ。でも、もう説明したり言い訳したりするのが面倒くさかった。

 

厨房に戻ると、店長は少し機嫌が良くなっていて、わたしにねぎらいの様な言葉をかけた。

 

店長は苦手だったけれど、パートのおばちゃんたちは皆驚くほど上品で優しかった。同じ東北出身のおばちゃんもいつも優しく仕事を教え話しかけてくれた。だれも威張らなかった。高校生のアルバイトの女の子たちも皆慕ってくれた。わたしが卒業してバイトを辞めた後もはがきを送って近況を報告してくれたりした。みんな可愛かった。

 

まかないは、揚げるのを失敗した唐揚げやチキン南蛮が人気だった。チキン南蛮が食べたくて、皆わざと焦がしたりした。時々、厨房の大きなオーブンで店長が野菜ケーキを焼いてくれた。余った人参や玉ねぎが入っているシンプルな味の四角いケーキ。焼きたてはほくほくしていておやつにもご飯代わりにもなった。あの味は後にも先にもあそこでしか食べたことがなくて、たまに思い出す。

 

わたしが一人暮らしだったので、店長はときどき日用品をおすそ分けしてくれたりした。実家に帰省する時はシフトの休みを何週間もくれた。帰りが遅くなった日や雨の日は車でアパートまで送ってくれた。

 

店長はわたしと同世代の息子さん2人の母親でもあった。もしかしたら、娘みたいな年頃の女の子との距離感がうまく掴めなかったのかもしれない。フランチャイズ弁当屋を1人で切り盛りして、何人ものパートさんやバイトの子たちを抱えて、きっとプレッシャーも大きかったと思う。ストレートな伝え方はサバサバしすぎていてどうしようもなかったけれど、たぶん、わたしのことをとても気にかけてくれていたんだろう。

 

そう言えば、店長もわたしが卒業して地元に戻ってから手紙を送ってくれたことを、今思い出した。